東京薬科大学 薬学部 内分泌薬理学 |
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【研究について】
現在の研究の内容・目的
妊娠の成立機構とその破綻による妊娠関連疾患の病態機序の解明を行なっています。妊娠初期には受精、受精卵の成熟、子宮内膜への着床、胎盤形成と多くのステップを
乗り越えることが必須です。これらの現象は哺乳類で共通の部分も多くありますが、種特異的な機構も多く存在します。それゆえモデル動物での検証は限界があり、
特にヒトにおいては、倫理的観点からも研究が難しく、ブラックボックスと言われるほどその機構解明には不明な点が多くあります。これまで、生殖に対する宇宙環境の影響は
いくつか検討され、様々な知見が集まってきています。ラットを宇宙に打ち上げて、繁殖するか見られており、妊娠兆候は見られたが出産には至らなかったという報告が
あります。これは妊娠の成立自体はクリアできるが、胎児を育み、妊娠を維持するのに必須の胎盤が障害を受けていたからだと推察されます。
これまで多くのプロジェクトにより、宇宙環境が雄のマウスに及ぼす影響は見られており、妊娠能を維持できることはわかってきています。また、受精卵の成熟に対する効果も
検証されつつあります。これは、宇宙環境においても、生殖補助医療により受精卵を作成し、それを母体に移植することで妊娠できる可能性を示しています。しかしながら、
妊娠の継続および胎児の発育に必須の胎盤が宇宙環境において正常に形成されるかを検証した研究はこれまでにありません。今回の採択課題は、胎盤の主要構成細胞である
栄養膜細胞を用いて、胎盤形成に必須の細胞融合と細胞浸潤に対する宇宙環境の影響を検証することで、胎盤形成が正常に誘導されるか明らかにします。
今後どのような研究に取り組まれるのか
本採択課題は、栄養膜幹細胞を用いて、細胞の融合および移動能を半導体顕微観察装置マイクロイメージングデバイス(MID)を用いて宇宙環境にて観察し、帰還したサンプルを遺伝子網羅解析することで観察データの裏付けをすることを最終目的とします。まず初めに、胎盤栄養膜幹細胞の融合および移動能がMIDにより評価可能か、また、そのための
培養条件検討を行います。
今後の研究応用の展望など
本申請の最終成果は、妊娠・胎盤形成に対する微小重量や放射線等の影響を評価するため、人類が宇宙へ進出し、繁殖する上で最も重要な情報の一つになります。
胎盤形成において重力というエネルギーが必要か否かという情報は、将来的に胎盤の再生医療や人工胎盤作成を行う際に材料となる細胞の培養に有益であり、
応用できると考えています。
【IRMAILについて】
様々な分野の最先端機器を紹介しているので、大変参考になります。
また、なかなか結びつかない企業と連携し、新たな解析に挑戦できるのは非常に貴重な機会だと思っています。
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東京薬科大学 薬学部 内分泌薬理学