フォトロン賞 受賞者インタビュー

新潟工科大学 工学部 工学科 生体システム研究室
教授 伊藤建一 先生

受賞者プロフィール

1992年3月
1994年3月
1996年4月
1997年3月
2002年4月
2007年4月
2015年4月
2018年6月

現在に至る

新潟大学工学部情報工学科 卒業
新潟大学大学院工学研究科情報工学専攻 修士課程修了
新潟工科大学工学部情報電子工学科 助手
新潟大学大学院自然科学研究科生産科学専攻 博士課程修了
新潟工科大学工学部情報電子工学科 助教授
新潟工科大学工学部情報電子工学科 准教授
新潟工科大学工学部工学科 准教授
新潟工科大学工学部工学科 教授



【研究について】
卓球競技は、他の球技と比較するとラリーが非常にスピーディーであるため、対戦相手の選手位置や打球コースなどの情報の有用性は示されているものの、競技現場で活用できる情報収集・戦術分析システムの開発には至っていません。この戦術分析システムの構築を目指し、私は本学の共同研究者と一緒に、映像分析と卓球台の振動分析から、卓球競技の戦術的要素の一つである卓球ボールの台上への落下位置を推定する方法論を構築してきました。高速カメラを用いた方法では、カラーヒストグラムとパーティクルフィルタを用いた類似度評価によってボール領域を連続的に抽出する方法を開発し、非常に高い精度で位置を推定できることを確認しています。
これまでは、片側から打者が卓球ボールを打ちこみ、反対側の卓球台半面に落下した位置をオフラインで推定することで、提案手法の有効性を確認していました。今後は、より実践的な状況へ適応可能か検証するために、選手同士の卓球ストロークラリー中のボール落下位置と選手位置・姿勢のリアルタイム連続推定を試みたいと考えています。Photron 社製のストリーミング高速度カメラINFINICAM UC-1 は、リアルタイムで高解像度の動画をコンピュータに転送できるため、本取り組みにピッタリの装置であると考えました。なお、SDK やサンプルプログラムが提供されるということで、十分に開発が可能と考えています。卓球競技は、ボールとラケットラバーとの摩擦が大きいため、ボールに回転を掛けやすく、上手な選手ほど多彩な飛翔軌道を生成でき、大きく勝敗に影響します。今回の研究開発が成功したら、今後はステレオ計測等で卓球の3 次元軌道をリアルタイム測定し、ボールの回転数の推定できるようなシステムを構築したいと考えています。

【IRMAILについて】
このたびは採択していただきありがとうございます。サイエンスグラントは、最新機器の長期無償貸与と助成金がセットになった、他にはないユニークな取り組みと考えています。特に、機器の貸与は、高価で購入が難しい機器を用いて検証できますので、実績を積むことができれば、大型の助成金への足掛かりにもなると思っています。今後も、継続して多くの研究者に機会を与えていただけますと幸いでございます。

先生のより詳しい研究内容はこちらから
新潟工科大学 工学部 工学科 生体システム研究室