himac(工機ホールディングス)賞 受賞者インタビュー

東北大学 多元物質科学研究所
教授 矢代 航 先生

受賞者プロフィール

2000年3月 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了 博士(工学)号取得
2003年4月 日本学術振興会特別研究員(PD)
2001年4月 産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門特別研究員
2004年4月 物質・材料研究機構ナノマテリアル研究所特別研究員
2004年12月 東京大学大学院新領域創成科学研究科産官学連携研究員
2005年5月 同助手
2007年4月 同助教
2012年7月 東北大学多元物質科学研究所准教授

現在に至る


(左)矢代先生と(中)工機ホールディングス 大橋理事と(右)工機ホールディングス 鈴木様

【現在の研究の内容・目的】
硬X線(以下ではX線と呼ぶ)、中性子などの量子ビームを利用したイメージング技術のフロンティアの開拓を目指しています。特に、光学素子の高度化による高感度化(高空間分解能化、高時間分解能化、高密度分解能化)、多次元化などを研究テーマとしています。X線や中性子は物質との相互作用が小さいため、伝播方向に十分な厚さを有する光学素子が必要です。一方で、伝播方向と垂直な面内においては、微細な加工が望まれます。そのため、高アスペクト比の光学素子の高アスペクト比化に向けた開発競争が世界的に繰り広げられています。現在用いられている光学素子のアスペクト比は、微細加工技術の限界によって決まっています。この技術的な壁を超えて、従来の限界を超えるイメージング技術を開発することが、私の研究テーマの一つです。

【貸与される製品の用途】
高アスペクト比のX線あるいは中性子光学素子の作製には、従来はX線リソグラフィやめっきなどの技術が用いられてきました。本研究では、超遠心沈殿を用いた新しい方法により、従来の限界をはるかに超える高アスペクト比の光学素子の開発に取り組みます。これにより、従来よりもはるかに高度なイメージング技術が開発できると期待しています。

【今後の研究応用の展望】
本研究により、従来の限界を超える高アスペクト比光学素子が開発できれば、例えば、X線の位相を利用した医療診断機器や非破壊検査機器のさらなる高感度化や、X線顕微鏡のさらなる高性能化(高空間分解能化、高効率化)など様々な展開が期待されます。健康・医療分野、製品開発などの産業応用分野など、広い応用分野に波及効果が生まれると期待しています。

【IRMAILについて】
様々なシナジー効果を生み出す貴重な取り組みをされていると思います。日本社会におけるさらなるイノベーション創出に向けて、今後のますますのご発展をお祈りしております。

矢代先生のより詳しい研究内容はこちらから
東北大学多元物質科学研究所 量子ビーム計測研究分野